尊い

辰巳芳子さんの映画をテレビで少し見た。10才で親元を離れハンセン病の施設に入所し今も島で暮らす女性がスープを作っていた。鼻にがんができた友達のために指のない手を使ってていねいに作っていた。尊いと思った。健常者でも健常でなくても同じはずではないかと自問したけど、でもやはり尊いと思った。

 

「おかあちゃん私行くわ」と言って、「そうか」とお母ちゃんは答えて、それから家を発つまで家族は特段態度や言葉を変えるでもなかったけれど、おばあさんと父母に囲まれて仏壇の前に座りお経を唱えた。その思い出が支えとなった。

 

「人間は生きるもんだと思うんです」。生きても死んでもどっちでも良かったとかではなく。お友達ができたり、夫がいたり、暮らし自体には心配がないから言えるのかもしれないけれど。「この年になってから感じることがある」