金のりんご

 

金のりんご (世界傑作絵本シリーズ)

金のりんご (世界傑作絵本シリーズ)

 

 著者はチェコスロバキア生まれ(1935)。絵も文も。細かくて色がきれいで少し不思議な絵。切手や紙幣デザインもしてたというの納得。

 

ヨーロッパのファンタジーってこういうのなんだなあ、と、ヨーロッパのファンタジーをきちんと読んだことないけどそう思った。指輪物語とか、こういう感じなのかなと。作り話なんだけど何となく現実味を伴っていたり、ちょっとグロいところもあったり。次々と困難が起こり、次々と解決される。

 

兄王子の金と銀の白と花嫁が忽然と消えてしまい、その後弟王子にも同じことが起こる。家来を連れて探しに出掛ける弟王子。ひとつひとつの困りエピソードがシンプルで笑える。「けらいたちは、井戸からのぼってきた美しい花嫁たちを見ると、王子をころして花嫁をさらう気になりました。」「そこでおけの中に大きな岩をいれてなげおろしました。」さらう気になりましたて。

 

でもこの王子はとことん運が良くって、助かって、おまけに良い魔女みたいな全部助けてくれるおばあさんに遭遇。一から十まで解決策を教えてくれる上に「なにかこまったときには、このばばを思いだしなされ。すぐに助けにいってあげよう。」

 

で本当にその後、思いだすだけで助けに来てくれるのです。うらやましい!私も会いたい!

 

金のりんごというのは、さらわれた先で二人の花嫁がそれぞれ持っていて、「城よ、りんごにとびこめ!」と言うと城がりんごに飛び込んで持ち運べるというとても便利なアイテム。花嫁が入る時もある。

 

大きな指の横たわる川や、美しい花々の挿画。この人絵をかくのほんとに好きなんだろうなあと思う。絵が生き生きとしている。

 

訳者の内田莉莎子、今っぽいお名前と思っけど1928年生まれ(1997年没)の方で、1964年ポーランドに留学されてる。あの、うんとこしょ、どっこにしょ、の「おおきなかぶ」の訳の方でした。びっくり。それでもかぶはぬけません、子供の頃読んだきりだのに覚えている。

 

金のりんご

金のりんご

 

 こっちを以前読んで、上の本のことを知りました。