良いインタビューとは…

日本着後のインタビュー、やっぱり食べ物行きたい場所日本語どうやって勉強してるの等、試合後に各局のワイドショー系でさんざん話したじゃん!という質問、、、忙しいし疲れてるし眠いしという時にわざわざ時間取ってるんだし、せっかくだからもっと違うこと聞けばいいのに。

 

一人で1回の質問の中で2回も「日本人へメッセージを」ていう記者もいたり。。。なんなんだ。いい絵が撮れなかったとかなんだろうか。。聞かれた方は困ってたよ。

 

一社ぐらいは今回の帰国の目的であるパンパシフィックオープンについて何か聞くだろと思ってたけど、誰も聞かないのね。

 

 

アイデンティティーについての質問というのが批判を呼んでいるけれど、あれがひどいのは質問の内容じゃなくて、記者の日本語から全く意味が読み取れないとこだよ。

 

何を聞いてるのか分からなくて3回聞いて意図が分かった。

 

記者:海外の報道などで、大坂さんの活躍ですとか存在って言うのが、古い日本人像を見直したり考え直すきっかけになっているっていうふうな報道があるんですけれども。ご自身のアイデンティティーというのも含めて、その辺をどのように受け止めていらっしゃるか、お考えを聞かせて下さい

 

通訳:foreign media ...your performance... remind us old-style Japanese. How do you think those comments or what do you think about your born identity (...の箇所は聞き取れませんでした)

 

なおみ:Wait, me? I'm old style Japanese? Tennis?

 

通訳:.......you remind... old Japanese style...

 

なおみ:Tennis?

 

通訳:I haven't really seen the article.

 

記者:テニスというよりも、いわゆる古い日本人像っていうものが、その、日本人の間に生まれた人が日本人っていうような古い価値観があると思うんですけれども、大坂選手の活躍で、大坂選手のバックグラウンドなどが報道される中で、そういった価値観っていうのが少し、変えよう変わろうっていう動きが出てると思うんですけれども」

 

通訳:...Old value of Japanese... ...

 

なおみ:Like?

 

通訳:your tennis....?

 

なおみ:Is that a question?

 

通訳:....How do you feel about that? How do you think about your identity as Japanese?

 

なおみ:Firstly, ありがとうございます. I don't really think too much about my identity or whatever. For me, I'm just me and I know that the way I was brought up, I don't know people tell me I act kind like Japanese, so I guess there is um...but other than that

If you are talking about my tennis, my tennis is very um, not very Japanese, so..

 

なぜこの日本語で質問の意図を分かってもらえる、汲んでもらえると思ったんだろーか。

 

記者の言う「古い日本人像」やその海外の記事を、なおみさん(及び通訳←ここ大事)と共有できてるとどうして思えたんだろ。

 

あれこれ読み聞き漁った私ですら、「古い日本人像」っていうから、なおみさんの謙虚さや礼儀正しさのこと??でも見直そうっていう動きって???と訳わからなかった。

 

「日本人の間に」というのも、間を作る二者について明確でないので、即座には意味が分からなかったよ。(「日本人と日本人の間に」「日本人の両親の間に」等なら、分かりやすい。)

 

「両親ともに(もしくは先祖代々??)日本人じゃないと日本人じゃない」っていう、古い日本人像、古い価値観、について話してたんだね。信じられないけど今もこういう考えの人はいるらしい。

 

確かに、失礼にならないようにどう表現するか、しかも1on1でない、短いQ&Aで、難しい話ではあるけど、でも聞きたいなら、ぶしつけにならないように、かつ、もちろん、意味が伝わるように、伝えないと。記者なのに。海外の記事というのだって、この忙しいスケジュールの中、読んでる可能性ゼロに近いの分かるでしょ!(通訳担当者も読んでないって!)日本語がめちゃくちゃすぎる。

 

ただ、やたら批判されてるけど、質問の内容としては、悪くないと思う。日本で、「ハーフ」で、自分のアイデンティティーについて悩んでいる人もきっといるだろうし。日本で「ハーフ」だからって嫌な目・ひどい目に遭ったり差別された経験を持つ人はたくさんいるので。

 

アイデンティティーについての彼女の答え、「私は私」というのを引き出したのは不幸中の幸いと言うか、ばきばきに壊れた棚から降って来た牡丹餅だったと思う。「あんまり深く考えてない(I don't really think too much)」というのも。

 

また、通訳さんも訳分からずほぼ誤訳だったのでは。でもそこから、「私のテニスは日本的ではありません」というのがでてきたのもまた牡丹餅だったと思う。(自分のテニスがじゃぱにーずおーるどすたいる???て、海外メディアに書いてあるって???そりゃびっくりするわ。)

 

今回の会見で、テニス関連以外のことでいちばんいい答えを引き出したのが、このいちばんひどい質問だったのではないでしょうか。

 

こういうことを、以前も何かのインタビューで感じたことがある。いい質問が常に面白い答えを引き出す訳ではないし、変な質問くだらない質問から、おもしろい答えが出てくることも。

 

下の、teen vogue でも、「あまり機会に恵まれない環境にいる若いアスリートたちに、諦めないでいるためのアドバイスはある?」という質問に、「自分はその質問に向いてないと思う」「陳腐な言葉(cliche)になってしまうけど、良くなっていくから(It gets better)」という答えで、インタビュアーは「ほんとにクリシェだわね」とでもいうようにアイボールを上にあげてて感じ悪いのですが(私の印象なだけで本人どう思っているのか知りませんが)。

 

これいい質問だけど、なおみさんはしっかりサポートを受けられる環境でやってきているので、自分が答えられる質問ではないですよといったのでしょう。It gets better も、インタビュアーが期待したような答えではなかった。(でも、これ、いい答えかも。時間と、インタビュアーの技量次第では、このことばを選んだ背景のような、もちょっと深い答えが引き出せたのかもなとも思います。)

 

ところで、なおみさん日本語まだ勉強中のようだし、会見やインタビュー、慣れているプロの通訳ちゃんと入れた方が良いと思う。今回のは訳を入れたり入れなかったりばらばらだった。特派員協会の通訳に入るレベルの人なら、この訳分からない質問もどうにかなったのでは。意味が取れるまで聞き直すのもありかと。