須賀敦子を読む
まだ全部は読んでいないのにたいそうなタイトルを付けたのは、長年書棚に収まっていた本にようやく手を付けたからです。
こんなに家族のことを書いていると思わなかった。
そして、全集ではなく、単行本で読んでいたら、もっと印象が違っただろうな、深かっただろうな、と思った。刊行時に読んでいても違っただろうな。そういうふうに思ったのは初めてでした。
須賀敦子の著作が出版され始めた頃、耳にしたり目にしても大いによい環境にいたのに、全く知らなかった。記憶ではそう。私がこの人の名を明確に認識したのは、全集も出て何年も経ってからだったのでは。
ある友人は、生きる力をもらったと言い、別の人も、留学中に読み返しては力をもらったと書いていた。私はそういう風な感想を抱いていないし、これから読み込んで抱くかどうか分からないけど、色々な時代のイタリアや、昔の留学や、うっすら見聞きしたことがあるようなことや、少し知っている場所の知らなかった景色が見えるようでおもしろい。