good summer reads 2_STONER

 6月頃の読書。

ストーナー

ストーナー

 

 翻訳小説って久しぶりに読んだ。おもしろかった。1965年にアメリカで出版。2006年に復刊。さほど人気という訳ではなかったようだけれど復刊されたのは、一定の評価があったからだろうか。そしてフランスの人気作家アンナ・ガヴァルダが気に入って2011年に翻訳出版しベストセラーとなり、色んな国で紹介され、2013年にイギリスの作家イアン・マキュー案がラジオで絶賛、そこからアメリカでの人気も高まっていったそう。日本では2014年9月の刊行です。

 

The New Yorkerの書評には対照としてギャツビーが挙げてあるように、地味で地道で武骨で世渡りも下手な、文学助教授として一生を終える男の物語。静かな情熱、愛、苦悩。フランスやイギリスで好まれたのも分かる気がする。そして刊行時ではなく、色々破綻した後の2010年代のアメリカに広まっていったのも。

 

ある程度の成功、不安定で独断的な妻・母、その母の影響のせいか、上品な家庭で育ちながらも堕ちて行く子、今の社会にもある程度、よくあてはまるパターンなのかも。

 

日本語が美しい。静かだけれど、先へ先へと導かれる。

 

実は、なんとなく途中から読み始めてしまって、引き込まれたのでした。最初から読んだら、ストーリーに乗るまでしばらく我慢する時間があっただろうと思うけど、そういえば長編って、そういう楽しみ方もあったことを思い出した。オープニングからしばらくは、ストーリーの土台となる情報の把握や、ストーリーが流れ始めるのを待つ、少しじりじりと我慢する時間があって、その後にふと、流れ出す感覚。