他にも色々読んでいるんだけど、またこの人の。

蛇行する月

蛇行する月

 

 図書館でずいぶん前に予約していた本の順番が来たのだった。すぐ読みたいというのでもないし、いつでもさらーと読めるから、何カ月待っても別にかまわない。私の前に何人予約があったのか、この一冊の本がこの近辺のたくさんの人の家などで読まれたんだなと感慨深い。そしてそんなに借りられてると思えないくらいきれいだった。

 

昔の推理小説みたいな書体が、この作家のべたな昼ドラのようなストーリー (けなしているのではない、むしろほめているのかも)によく合ってる。行間も狭いような。同級生たちやその周りの、幾人かの女の話。その内の一人の女を軸にして繋いだ短編集。一話目がこてこてのセクハラで始まってどうもそういうの小説でも読んでて気分悪いので早々に本を閉じようかと思った。閉じて返却しようかと思った。けどその先には読み進ませる何かがあるはずなので閉じずに読んだ。1話目はまあなんとなくホテルローヤルみたいだなという感じ。女の子がしょうもない男にひきずられず自分の道を切り開いたのは嬉しかった。2話目もまたこれ船の上で情事。なんだけどそれだけに終わらず、軸となる女の話が動き始めて 、3話、4話と別の女の話と絡んで展開していく。これまで読んだ中で一番面白いかも。それぞれ違う面白さなんだけど。珍しく爽快感が残った。

 

それから、昔すごく好きでデビュー後しばらくずっと読んでたけど、読まなくなってまた読んでを繰り返してるばななさん。

スナックちどり

スナックちどり

 

 この人の話に出て来る人は家に困らない。普通に契約して家賃払って、というのがない。知合いの持ち家が空いてて~別荘が空いてて~みたいなのが多い。なんでなんだーそんなにおいしい話ばっかりないでしょーと思っていたけど。ばななさんの周りはそうなのかもしれない。東京って家を持っている人は2軒以上持っていたりすることはままあった。敷地に複数建ってるという人もいたし。親が買ってた/建ててた家があって~という知人も何人かいた。投資とか色々対策とかでそういうの田舎よりも多いかも。

 

この本のストーリーはまあまあ。離婚の癒しと、親代わりの祖母との死別の癒しのいとこ二人の旅。ご本人の癒しの作でもあるのかと思う。旅先は私も好きな感じのイギリスのなんでもない田舎町。たんたんと読んでいたんだけど一カ所だけ共感した。カフェでクロテッドクリームのことをおばあさんが教えてくれて、ちどりがおばあちゃん思い出して泣く所だけ。うっ、分かる、と思い涙が出た。

 

この本で印象的だったのはフォント。読んでたら気になってきて色んな文字を探してじろじろと見た。とてもきれいだけど実はなかなかくどい。でも行間がずいぶん広いので読むとくどさよりきれいさの勝ち。