映画の感想と

ぼくの大切なともだち (完全受注5,000本限定生産) [DVD] ラビット・ホール [DVD] ブルーノのしあわせガイド [DVD]

 

ぼくの大切なともだち」星2つ。悪くないけど浅い?他人に興味がないので友達がいないフランソワ。(そもそも「友達」っていう感覚がないので、本人は友達がいないことに気付いてないけど。)友達がいるって証明できるかどうかにオークションで競り落とした壷を賭けようっていう話に乗ってしまう。気は良くて愛想もいいブリュノに、君は友達を作るのが上手だ!どうやるんだ教えてくれ!と迫る。けどブリュノは心根は優しいんだけど場に合わせた会話ができなかったりで友達を作るのは別に上手くなくてさびしさを抱えてる人間。数回会ったくらいのフランソワに頼まれて(騙されて)わざわざ保険金狙いの盗難を引き受けちゃって、盗難現場にてワイングラスを片手にした人たちに「危険を冒してくれる友達」として紹介されちゃう。まるで見世物。悪いことしてる認識のないフランソワ頭おかし過ぎるのですが。二人とも何かが決定的に欠けてるけどそこをもう少し深めないのかな。描くまでもないってことだろうか…。プロデューサー役のアンリ・ガルサンがかっこよかったけど、なぜ「あの壷は私のものだ」っていうのか少しも描いてないのも不満。壷にはギリシャ神話「イリアス」のアキレスとパトロクロスの友情を基にした絵が描かれているんだけど。あれこれ説明しないのを良しとしてるのかな。あんまり説明され過ぎるのは嫌だけど。これ見た後、オランド大統領の浮気ニュースを聞いて相手が共同経営者役の女性で驚いた。任期中でもプライベート控えたりしないんだなあ。仕事には直接は関係ないけども。そのバイタリティーや恋愛力ちょっ羨ましいくらいだ。元のパートナーには失礼過ぎるけど。

 

 

ラビット・ホール」星4つ。ペットの犬を追って家の前の道に飛び出した4歳の息子を事故で失った夫婦と、事故の車を運転してた高校生、妻の家族、犬、子どもを亡くした夫婦の会、同僚家族や隣人。映像がきれいで良かった。家や庭や、公園がきれい。ハウイー役のアーロン・エッカートは好きな俳優だし、ニコール・キッドマンきれいだし。ベッカ(キッドマン)が高校生に会う公園がきれいで良かった。二人が会う場所にこの公園があって良かったねと思う。広々として緑がきれいで空気が明るくて。癒しに力を貸してくれる。二人の表情をアップにしたスローモーションだけで表した事故シーンも良かった。サンドラ・オーが少しかわいそうだけど、ハウイーが帰っちゃう時の表情とか、上手かった。ハウイーはこの館に足を踏み入れたら、喪失から8年抜け出せずにいるサンドラオーと共に抜けない沼にはまっちゃうって気付いて恐怖を覚えたのかな。高校生が家に来ちゃって、ハウイー激怒→犬の散歩→犬に当たる→犬に謝るっていう流れも分かる。ベッカが神様神様言ってる人に切れてたり、キャリア時代を懐かしんだり、ていうのも理解できる。パラレル・ユニバースを肯定するのも。自分が生きてるは悲しいバージョンだけど、別の世界では私は幸せに暮らしてる。ベッカが高校生を拒絶するんじゃなくて、彼の悲しみも理解していて、彼と話すことがベッカの癒しになってるのも、ベッカが息子のいた母親だったから余計なんだろうと思う。はっきりとは分からなかったんだけど、高校生のお父さんは亡くなってるんだろうか。漫画の科学者はお父さんがモデル?って聞かれて、いや、父親は英語教師だった (was)、て答えてたり、亡くなってるのかなと思う台詞が2つくらいあったんだけど、ベッカの台詞は父親について知ってるような知らないような(ご両親 (your parents) )。亡くなっているんだろうな。それで高校生もパラレル・ユニバースの話に強くひかれたんだろう。

 

「ブルーノのしあわせガイド」邦題以外は星4つ。(なんでイタリア映画やフランス映画とかってこういうタイトル…。これしあわせガイドなんでしょて言われたら主人公絶句しそう(主人公がブルーノ。監督もブルーノなんだけど、邦題、二人の名前に掛けてるんだったら余計に嫌…)。現題は「SCIALLA」、気にすんなよとかそんなことで騒ぐなよみたいな感じでしょうか。男の人っていいよね。知らないとこで子どもがちゃんと育ってて。と以前思ったことがあったのを思い出した。落ちぶれてる風な作家が知らないとこで15才に育ってた息子と同居する話。ルカ(息子)、パンツ(下着の)シーン多すぎなのイタリアぽい気が。ブルーノのアパートや元ポルノ女優ティナの家、インテリアや庭の様子が楽しい。イタリアの学校の様子もおもしろい。ティナもすごく良かった、しゃべり方とか怒り方とか。魅力的。(Barbola Bobulova、1974年スロバキア生まれ…50才くらいかと思ったんだけど??)ブルーノのアパートでルカと会うシーンの二人も良かった。ルカが留年を申し出たっていうのがちょっといい子過ぎて違う気がしたけど、追試だと夏休み遊べないしていうのやまあもっとちゃんと勉強したいって思ったりするかな。留年もsciallaて感じか。たいていのことに無鉄砲なルカがくすりやマリファナには手を出さない、良いことです。そういう感覚を身につけた背景少し入れてほしかった。言うまでもなくお母さんの教育ってことかな。脚本良かった。ギリシャ神話の使い方とか。(この映画にもアキレスとパトロクルスの話が出てくる。神話や、聖書の話や世界の歴史についてある程度ベースがあると、もっと映画や小説や現実への理解も深まるだろうとよく思う)ルカがブルーノを背負うシーンがいい。全体がいい意味できれいにまとまってた。

 

Philip Seymour Hoffman、この人出てるんだ見ようかな、と思う俳優さんだった。年末に見たチャーリーウィルソンズウォーもそう。トム・ハンクスが出てるからじゃなくて、Philip Seymour Hoffmanも出てるんだー見てみようと思った(この流れるようなフルネームも好きだった)。プライベートとか全く知らなかったけど。まだ自分のキャリアがクリアに見えない(「パニックになるんだよ」て話してる)20代の頃にはまっていたけど20数年クリーンで、でも、処方薬がきっかけでヘロインにも手を出すようになって昨年10日間リハビリ施設へ(というような話をインタビューでしてる)。20年以上もやってなくてもまたはまってしまうんだな…。中毒から抜けてないのに一人暮らししたり普通にプロとして仕事して親として子どもに会ってというのもきついかもしれない。1年くらい仕事休んで施設にこもった方が良かったんじゃ、とか考えても仕方ないんだけど。

 

人間のことって本人にしか分からないし本人にも分からないことだってあるから、こんな話は無意味だけど、誰にでも出来る訳じゃないやりたかった仕事を継続できてて、その仕事が周囲にも世間にも評価されていて、まさに現在も新しい仕事が進行中で、パートナーがいて(関係は終わっていたようだという記事もある)、かわいいまだ小さい子どもが三人もいて、マンハッタンにアパートがあって(近所で別居みたいだけど)、でも単純に幸せでいられない。なんで人間だけ色々シンプルじゃないんだろうか。46才。もういないんだな…。ほんと、ただの一視聴者だけど残念。もっと年取ってからの演技も見たかったな。ほんでやっぱり子どもがもうお父さんに会えないのがかわいそうだな。