りすとかしのみ

 

りすとかしのみ (岩波の子どもの本)

りすとかしのみ (岩波の子どもの本)

 

 紫のぶどうで縁取られた黄色い表紙はかわいいですが、絵自体はかわいらしいという感じではないです。3篇の短いお話が収められています。

 

「りすとかしのみ」は、りすに食べられそうになったところを、私を食べずにいてくれたら今度たくさん実をりすさんにあげるから、と見逃してもらうかしのみの話。翌年、翌々年とりすが実を探してやってくるのですが、あのかしのみは当然ながらまだほんの小さな若木で実がなるどころではありません。何年も過ぎて、あのかしのみのことなどすっかり忘れていたりすが思い出してやってくると、大きくなったかしのきがたくさんの実を落としている。というような、まっとうな、良いお話。

 

問題は2話目です。がまのげいとう。何とも言えない読後感を味わえる、奇妙な話です。いったいなんでこんな話を書いたんだろう。でもそういえば子供の頃、こういう読後感のある、奇妙な、怖い話を読んだことってあるなあ。主人公の少年も怖くなって逃げだしている。

 

ストーリー以外では、少年の上着の凝った模様が気になった。

 

3話目の「ねずみのかくれんぼ」は怖くないお話ですが、ねずみの絵って画風によっては苦手で、これも苦手なタイプだった。