読書の記録

この所、女の人の話をあれこれ読んでいた。

何を読んだかとどんな話だったか、忘れちゃうのでメモです。

 

ちょうちんそで (新潮文庫)

ちょうちんそで (新潮文庫)

 

 あまり色んな小説家を知らなくて、何か軽く日常のお話が綴られているような小説を読みたいなという気持ちの時に浮かぶ名前。

 

短編の繋がった長編のようなお話。子どもを連れて結婚した家族を、恋に走って捨てた女性の老後。その家族や、主人公の暮らす施設に入居している他の夫婦たち。長らく会っておらず主人公の空想で現れる妹。

 

面白かった。また読んでもいい。

 

 

声を聴かせて (光文社文庫)

声を聴かせて (光文社文庫)

 

 この人の本をばーーーっと読んだ。別の小説家が紹介していて、ネットで見ると試し読みができる話がたくさんあり、試し読んだらちょっとその先知りたいと思う話ばかりだった。テレビドラマを見るように楽しめる、色んな属性の女の色んな気持ち。どれも、一度読んでしばらくしてからまた読んでも楽しめるだろうな。

 

この本は2編の中編小説。標題の話は、結婚前の彼女とよりを戻して夫が出て行って離婚してるシングルマザーが子育てを終え、娘の子どもが産まれたところから始まる。主人公と娘の来し方。ひとりで必死で二人の子を育ててる中、保育園の園庭にトラックが突っ込んで亡くなった小さな弟。園を相手取って裁判をしようと言い募った元夫の父(夫が出て行った後に生まれた子なのに)。裁判で大変だったころ、小学校でいじめられていた娘(自動も教師もひどい...)。田舎のひどい婚家で働きつくして亡くなっている主人公の母。辛い時期の二人を癒してくれた猫。この猫が、主人公に母の言葉、亡くなった子はこっちで元気にやってると伝え、娘にも何かを伝え、それきり動かず鳴かず置物のようになってしまう。主人公は昔の友人がいい仕事の話をくれて、自身の技能を生かしてお仕事できていて、娘もやさしい相手と結婚し子供ができ、現在の明るさや希望に救われる。孫娘がかわいいのは、娘がかわいいその延長であること、というのが印象に残った。なので、かわいさで言えば、娘>孫娘。そういう母親もいるのだろうな。

 

ドラマ等見ていて、整合性がないとかなんか変でしょそれ!と思うと楽しめないのですが、こんな猫の話には、さほどいやな違和感を感じることなく、いい話や、なんて言い猫だ、この猫がいて良かった、と思える。

 

もう一つの話は「小さな甲羅」。成長のおっとりした息子が幼稚園でやられているんだけど、この相手男児がなかなかくせもので悪賢くて、自分が悪いのに上手く隠して犠牲者ぶるタイプ。母親もボスママで、大変。主人公はボスママグループにおもねるのに必死なんだけど、おっとり息子に暴力をふるって喜んでいる相手男児に、主人公の妹が手を出してしまって、しっちゃかめっちゃかで、壊れてしまう主人公。虐待寸前のような、ぎりぎりのところで夫に息子を義母の所へ預けるよう指令を出して寝込む。

 

いじめた方は忘れてもいじめられた方は忘れないって、ほんとにそうだと思う。いじめられてたけど忘れられたならそれはそれでいいこと。いじめた方、悪いことした人って、さほど悪いと思っていなくて、大人になっても変わらない性質なんだよね...そうじゃない、変わる人もいるだろうけど。

 

行くの無理と言ってたけど見に行ったお遊戯会で、人目をはばからず声を上げ手を振り息子を応援する主人公。新しい強さと愛を獲得したのかもしれない。