読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

三月の雪

雪が降った。静かに降る三月の雪。

 

子供の頃も大人になってからも、雪は好きだった。吹雪の中歩いても、積もって多少大変でも。でも大人になってずいぶん経ち、本来は雪の多いこの町に住んで、やってもやっても終わりのない雪かきがつらくなると、好きという気持ちが消えた。今季はまたずいぶんな暖冬で、温暖化の進行は全く良くはないけれど、冬寒くない場所に住むってやっぱり最高だな、と思ったりした。

 

それでもやっぱり、降っている雪や、雪に覆われた景色はきれい。今日の雪もきれいだった。もう終わりだと思えるからかな。2月の終わりに行った建替え進行中の病院の、古い棟の窓から見える雪も、あまり好きな景色のないこの町の中で、珍しく好きな風景だった。窓から見えた向こうの棟の窓からも、年配の医師が一人マグカップを片手に外を見ていた。

 

そこは地域の中核的な病院なんだけど、この規模の病院で今まで改装していないのが不思議なほど古い。でもきたないようないやな古さではなくて、清潔感はあり、壊してしまうのがもったいないような雰囲気。廊下に面した部屋の、曇りガラスの入った白いペイントの窓枠のかわいいこと。あの窓やドア、誰かもらわないのかな、そういうお仕事の人。室内の雰囲気も全く悪くない。ヨーロッパの古いアパートのような。

 

新館の方は、当然ぴかぴかで、明かりを落として少しブルーがかった検査室はSF映画のようだった。エレベーターも新しくかっこよく、そういうのに乗るのが久しぶりだった。