色々読んだ 1

1冊返しては1冊借りて、何冊読んだかな。(田舎の図書館では直木賞受賞後も割と借りやすい。時々予約が入っているくらい。)どれももう一度読んだら、さらにおもしろさが湧くんだろうと思う。なかなか二回読めないんだけど。

 

射してきた明るい光をふっと奪われてしまう作品が多いような印象がある中、希望を持たせたまま終わってくれて意外に思いながらほっとする作品も。

 

最近読んだものから順に。(※あらすじなどしっかり触れています。)

無垢の領域

無垢の領域

 

長編。潮流に乗れない書道家、養護教諭の妻、介護が必要(と詐病してる)書道家の実母、図書館立て直しにやって来た館長と発達障害か知的障害を抱えているんだろう妹、図書館長の恋人のようで恋人ではない女性。 それぞれがしっかり描かれていて、おもしろい。妹を死なせずに描いて欲しかった気もする。応募作品を選んで行く緊張感、受賞作が館長の妹の作であることが明らかになっていく流れとか、上手だな~と思った。

 

実母の執念が悲しい。歩けるのに歩かないなんて辛いしつまらない。(ただ実際は、何年も歩いていなければ、人が見ていないからと言ってすたすた歩くことはできないんだろうな。誰もいない時に嬉々として歩いてたんだろう。)

 

ワン・モア

ワン・モア

 

 連作。長編と言ってもいいのかな。(所々記憶があいまい。やっぱり記録は読んですぐがいいですね。)第一話はこれまでの短編に割と通じる刹那的というか殺伐としたというか、顔に当たる空気が冷たい感じのストーリー。安楽死に手を貸し遺族ともめ(真相を知っているはずの娘(孫娘だったかな)は出てこない)、北海道の島へ左遷された医師・美和は、オリンピックでの活躍を期待されつつドーピング疑惑で水泳の世界から追われ島の漁師になっている男(既婚)と不倫(といっても美和は体だけ楽しんでる感じ)。その妻や島中から頼りにされている看護師。男の妻が医院に来るシーン良かった。

 

二話から少しずつ雰囲気が変わっていく。同期の女医・鈴音から癌で余命が短いから自分の診療所を任せたいと頼まれて戻る美和。高校の同級生で美和たちと医師を目指していたが叶わず放射線技師になった八木(ずっと鈴音を思っていたぽい)。美和の元夫で、美和の余命を支えるハウスメーカー営業。

 

診療所で鈴音、美和を支える看護師と、彼女の元患者で再発しなかったら5年後会いに来ると言い、会いに来た男。

 

近所の書店店長、元アルバイトの女。そして女の元彼(やっぱりDVでストーカー気味)。店長が頑張り、元彼もどうやら諦め、なんだかいい感じで店長のご両親と二世帯住宅で暮らすみたい。この丸く収まった感とか本当に意外。

 

それぞれが色々あって、最後は皆で子犬を分け合ってなんだかアットホームな感じで終了。

 

おもしろくなかったの?っていう書き方みたいですが、おもしろかったです。温かい終わり方好きです。やはり読了から時間が経つといけないな。「アットホーム」って桜木さんらしくなくちょっとなじんでない、取って付けみたいな印象もあった。子犬を分けてみんなにこにこというのがなんだか、しっくりとこず。(親しい仲間で子犬をもらいあって飼うなんて楽しいことしたら、にこにこなるに決まっているんだけども。)