外国語の難しさ

今回も、"I'm sorry" は、ごめんなさいなのか残念ですなのかという話が出た。

 

私にはあのシーンで謝る理由が見当たらないので、こんな風に終わることになって残念、心苦しい、だと思ったのだけど、大会公式の記者会見で、どうしてapologizeしたのかと記者に聞かれてなおみさんがそのまま答えていたのを見て、謝っていたのだと知りました。

 

sorry や apologize と、日本語のごめんなさい・残念に思う・謝るが、ひょっとして、微妙に本当の意味というか感覚が違うのかも??と色んな英英辞書を見たりしたけど、今の所、違わない、という理解。

 

なのだけど、同じ疑問を以前も抱いたことがあり、まだ完全には腑に落ちていない。(沖縄でひどい事件が起きた時に、日本の記者と米軍の軍曹みたいな人が、謝ってない!いや謝ったでしょ!とやっていた時のことです。言葉の違い、難しいな、と思った。)

良いインタビュー2

youtu.be

cuteness overload 人類編。

いちばんかわいい。最高にかわいい。かわいさがばくはつ。

やっぱりエレンってすごいんだなー。

もちろん、エレン自身の番組で、質疑応答というより、会話を楽しんで、質問にゆっくり答えられる、リラックスした雰囲気というシチュエーションだし、言葉の壁もないし、もしかしたらある程度脚本ありかもですし、なので日本での会見等と単純に比較はできませんが。

 

エレンの「試合見た人?」の声に観客から大きな歓声が湧いていて、ブーイングに埋められた試合後や表彰式を吹き飛ばしてくれたみたいで嬉しかった。(仕込みであっても。仕込まれてなくても歓声上がったと思うし!) (多分なおみさんご本人は気にされてないけど。)

 

今までも聞かれてる質問でも、更に突っ込んだ答えが聞けていて、これはエレンが相手だからなのか、ゆっくり答えられる番組だからなのか、番組がしっかり聞き取りを含めた下準備をしているからなのか。(セリーナ騒動の最中のこと。何が起きてるか見ていなかった分かっていなかった、集中することに集中してた、というのはこれまでも答えてたけど、試合で相手が怒ってるときなどはそちらを見ず後ろを向き集中するようにと小さい頃に教えられたと話していた。)

 

それで、Michael B.Jordan の話題の3つの "No" が、かわいすぎる!

 

そんでMBJからのビデオメッセージですよ!

www.thisisinsider.com

 

これおもしろいなと思ったのが、teen vogueインタビューでなおみ自身が話してたのと同じことをマイケルも言ってるのですよね。

 

tv:試合に負けてて最低な気分の時の対処についてアドバイスを→N:結果じゃなく、プロセスを大切に考えるべき。一つ一つと闘って、前へ進み続けていれば、ある日目指していた所に自分がいる。

 

MBJ:たいていの人は結果は見るけどプロセスは見ない。でも、このスポ―ツに注いだ全ての努力、血と汗と涙があってこそ、たくさんの人が目にする結果が生まれるんだ。それって誇りに思うべきことだよ。

 

マイケル、、、この声はずるい。サングラス途中で外してくれるし。その時言ってることもなんかかわいいし(サングラスなんかかけちゃっておれったらみたいな感じ)。最後の、"Everybody's watching now, alright? Me too." の "Me too" は、なおみちゃんが完全にきゃーーー!!!ってなるとこでしょうね。なおみがcuteness overloadなら、マイケルはcoolness overloadだわ。これはエレンのショーで会うことになるよね!

 

さて、賞金についてエレンに聞かれてて、車持ってないの?車買ったら?と言われてますが、日産がリーフとか、GTRを、くれるそうです。

 

newsroom.nissan-global.com

 

かわいらしさが注目されがちななおみさんですが、日産・星野朝子専務執行役員による紹介では「どんどん迫力を増し相手を圧倒し」「自信とパワーに溢れ」「非常にクールでしかもクレバーにプレー」と、日本企業が女性を表す(褒める)時に使わない表現が並んでおり嬉しい。かっこいい女性、強い女性のイメージを推してる。(この時のヘアメイクもかっこよくて素敵。)

 

実際かわいらしいし、素な感じも魅力、そして聡明、賢い、ユーモアのセンスもあっておもしろい。色んな国の人が、かわいさ、謙虚さ、上品さを、プレーの冷静さを、大好き!と言っていて、日本の人は日本人だから嬉しいし、ハイチの人はハイチ系だから嬉しいし、ブラック、カラード、ブラジアン(初めて知った)、それぞれに、同じ何かがあることで親近感を増して一層喜んだり誇りに思ったりしている。それはそれで良いことだし、そして、別に何の共通項も見出したりするまでもなく喜ぶ人たちもたくさん。ほんとに沢山の人に愛されてて、皆の心にしあわせ運んでてすごいなあ。

 

スポンサーになるのに最高のタイミングだし、お父さんが日産車に乗っていたというの、良いストーリー。ファミリー向けもにいいCM作れそう。

 

良いインタビューとは…

日本着後のインタビュー、やっぱり食べ物行きたい場所日本語どうやって勉強してるの等、試合後に各局のワイドショー系でさんざん話したじゃん!という質問、、、忙しいし疲れてるし眠いしという時にわざわざ時間取ってるんだし、せっかくだからもっと違うこと聞けばいいのに。

 

一人で1回の質問の中で2回も「日本人へメッセージを」ていう記者もいたり。。。なんなんだ。いい絵が撮れなかったとかなんだろうか。。聞かれた方は困ってたよ。

 

一社ぐらいは今回の帰国の目的であるパンパシフィックオープンについて何か聞くだろと思ってたけど、誰も聞かないのね。

 

 

アイデンティティーについての質問というのが批判を呼んでいるけれど、あれがひどいのは質問の内容じゃなくて、記者の日本語から全く意味が読み取れないとこだよ。

 

何を聞いてるのか分からなくて3回聞いて意図が分かった。

 

記者:海外の報道などで、大坂さんの活躍ですとか存在って言うのが、古い日本人像を見直したり考え直すきっかけになっているっていうふうな報道があるんですけれども。ご自身のアイデンティティーというのも含めて、その辺をどのように受け止めていらっしゃるか、お考えを聞かせて下さい

 

通訳:foreign media ...your performance... remind us old-style Japanese. How do you think those comments or what do you think about your born identity (...の箇所は聞き取れませんでした)

 

なおみ:Wait, me? I'm old style Japanese? Tennis?

 

通訳:.......you remind... old Japanese style...

 

なおみ:Tennis?

 

通訳:I haven't really seen the article.

 

記者:テニスというよりも、いわゆる古い日本人像っていうものが、その、日本人の間に生まれた人が日本人っていうような古い価値観があると思うんですけれども、大坂選手の活躍で、大坂選手のバックグラウンドなどが報道される中で、そういった価値観っていうのが少し、変えよう変わろうっていう動きが出てると思うんですけれども」

 

通訳:...Old value of Japanese... ...

 

なおみ:Like?

 

通訳:your tennis....?

 

なおみ:Is that a question?

 

通訳:....How do you feel about that? How do you think about your identity as Japanese?

 

なおみ:Firstly, ありがとうございます. I don't really think too much about my identity or whatever. For me, I'm just me and I know that the way I was brought up, I don't know people tell me I act kind like Japanese, so I guess there is um...but other than that

If you are talking about my tennis, my tennis is very um, not very Japanese, so..

 

なぜこの日本語で質問の意図を分かってもらえる、汲んでもらえると思ったんだろーか。

 

記者の言う「古い日本人像」やその海外の記事を、なおみさん(及び通訳←ここ大事)と共有できてるとどうして思えたんだろ。

 

あれこれ読み聞き漁った私ですら、「古い日本人像」っていうから、なおみさんの謙虚さや礼儀正しさのこと??でも見直そうっていう動きって???と訳わからなかった。

 

「日本人の間に」というのも、間を作る二者について明確でないので、即座には意味が分からなかったよ。(「日本人と日本人の間に」「日本人の両親の間に」等なら、分かりやすい。)

 

「両親ともに(もしくは先祖代々??)日本人じゃないと日本人じゃない」っていう、古い日本人像、古い価値観、について話してたんだね。信じられないけど今もこういう考えの人はいるらしい。

 

確かに、失礼にならないようにどう表現するか、しかも1on1でない、短いQ&Aで、難しい話ではあるけど、でも聞きたいなら、ぶしつけにならないように、かつ、もちろん、意味が伝わるように、伝えないと。記者なのに。海外の記事というのだって、この忙しいスケジュールの中、読んでる可能性ゼロに近いの分かるでしょ!(通訳担当者も読んでないって!)日本語がめちゃくちゃすぎる。

 

ただ、やたら批判されてるけど、質問の内容としては、悪くないと思う。日本で、「ハーフ」で、自分のアイデンティティーについて悩んでいる人もきっといるだろうし。日本で「ハーフ」だからって嫌な目・ひどい目に遭ったり差別された経験を持つ人はたくさんいるので。

 

アイデンティティーについての彼女の答え、「私は私」というのを引き出したのは不幸中の幸いと言うか、ばきばきに壊れた棚から降って来た牡丹餅だったと思う。「あんまり深く考えてない(I don't really think too much)」というのも。

 

また、通訳さんも訳分からずほぼ誤訳だったのでは。でもそこから、「私のテニスは日本的ではありません」というのがでてきたのもまた牡丹餅だったと思う。(自分のテニスがじゃぱにーずおーるどすたいる???て、海外メディアに書いてあるって???そりゃびっくりするわ。)

 

今回の会見で、テニス関連以外のことでいちばんいい答えを引き出したのが、このいちばんひどい質問だったのではないでしょうか。

 

こういうことを、以前も何かのインタビューで感じたことがある。いい質問が常に面白い答えを引き出す訳ではないし、変な質問くだらない質問から、おもしろい答えが出てくることも。

 

下の、teen vogue でも、「あまり機会に恵まれない環境にいる若いアスリートたちに、諦めないでいるためのアドバイスはある?」という質問に、「自分はその質問に向いてないと思う」「陳腐な言葉(cliche)になってしまうけど、良くなっていくから(It gets better)」という答えで、インタビュアーは「ほんとにクリシェだわね」とでもいうようにアイボールを上にあげてて感じ悪いのですが(私の印象なだけで本人どう思っているのか知りませんが)。

 

これいい質問だけど、なおみさんはしっかりサポートを受けられる環境でやってきているので、自分が答えられる質問ではないですよといったのでしょう。It gets better も、インタビュアーが期待したような答えではなかった。(でも、これ、いい答えかも。時間と、インタビュアーの技量次第では、このことばを選んだ背景のような、もちょっと深い答えが引き出せたのかもなとも思います。)

 

ところで、なおみさん日本語まだ勉強中のようだし、会見やインタビュー、慣れているプロの通訳ちゃんと入れた方が良いと思う。今回のは訳を入れたり入れなかったりばらばらだった。特派員協会の通訳に入るレベルの人なら、この訳分からない質問もどうにかなったのでは。意味が取れるまで聞き直すのもありかと。